第66章 褒めてみたならどうなるか
side.N
三人で軽いミーティング、と言っても胸を張るほど貢献はしていない。
パソコンとにらめっこを始めた潤くんを横目に、他愛の無い会話を始めていた。
リーダーと二人で、潤くんが恰好良くて困るって話を。
「はぁっ!?何言ってるんですか。当たり前じゃない」
「お前……そんなに怒んなよ」
穏やかに返されても、俺としてはそれどころじゃない。
悔しいというか、自分もまだまだというか。
何か、イライラしちゃうんだ。
多分、潤くんの良さは、俺の方が知ってる。
言い切る自信は無いけど。
だって、ウチの潤くんですよ?
年々外見にも内面にも磨きがかかって、恰好良いの代名詞って感じ。
しかもちょっと天然っぽいところもあるから、可愛いまでカバーしちゃうんだもん。
だから可愛いとこもあるって、分かってるけど。
でも、何かさ、違うの。
「それだと、昔は恰好良くないみたいじゃないですかぁ」
「拗らせてんな、ニノ。でもさあ、かわいかったじゃん」
「いや、まぁ、そうですけど。今も天使ですけどね!」
ややこしい、と呟くのが聞こえた。何てことだ。
我らがJのことを、投げ遣りにして良い訳が無いのに。
というか、このひと。カメラの前で、潤くん好きって結構やってますよね。
キャラクターの一部でもあるんだろうけど、その何割かはマジなんだろう。
あぁ、怖いこわい。そういうとこ、怖いんだよなぁ。
「あの、さ。二人も考えろよ。てか、口閉じて?」
冷たい視線と、ぶっきらぼうな言い方。
それから、微かに赤みの差した頬。最高です、と親指を立てたら無視された。
ツンデレだもんね、しょうがない。そこもイイんだし。
恰好良いって表情してるだろう俺と、かわいいって顔に書いてある大野さんと。
目が合ってニヤニヤしていたら、盛大に溜息を吐かれる。
ちゃんとやらないと、機嫌を損ねるのが目に見えてるなぁ。
さて、そろそろ本腰入れてやりますか。
とは言ってもまぁ、半分以上は時間が過ぎてるけど。