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小話【気象系BL短編集】

第59章 アップルパイにバニラアイス



side.A


背中にぴたりと頬をくっつける。
肌と肌とが吸い付くような感触が心地好い。
自分より小さくて、でも大きく見える背中がとても好き。
だから、今だけ。それで満足するから。
オレだけのものにしたいなぁ、と。何となく、そんなことを考える。



「なぁに。そんなに気に入ったの」

「そうだよ……今だけは、オレの、だもんね」


わざとぼかした言葉を、分かってるかのように笑うあなた。
鈍いのに。普段ぼーっとしてるのにね。
悟られたくないときほど悟っちゃうんだもん。
ちょっと、さみしい。
リーダーみたいに”おとな”になれてないのが分かるから。


そんな淋しさを込めて、肩甲骨の辺りに口付ける。
ほんのりキスマークが付いて、何だか安心する。
脱ぐ仕事は入ってないし良いよね、と再び赤い痕をいくつか付けた。


「分けるのはムリだけど、ずっと相葉ちゃんのだよ?」

「んー?ありがと」

「……うわぁ。信じてないだろ。ひどいなぁ」


リーダーがくるりと振り向いて口を尖らせる。
でも、目が笑ってるから、オレのことはバレるみたいだ。

ちゃんと受け止めるのが怖いって、きっと知ってるんだろう。
恐らくは分かってる。けど、だって、何だか。
悪足掻きをしちゃうのも、しょうがないじゃない。


「ねぇ、リーダー?オレ、もっとイイ男になるね」

「えー……そしたらこっちも頑張んないとなぁ」

「いやいや、リーダーは今で十分じゃん」

「相葉ちゃんも十分だぞ。寧ろこれ以上モテたら嫌だ」

「そんなこと無いって。そっちこそモテるからね?」

「気のせいだよ。ん?あ、ふふ、言ってることお揃いだ」


あ、ホントだ。言われて、はたと我に返る。
いつのまにやら、もやもやがスッキリしてるじゃん。
どうしよう。もっともっと好きになっちゃう。
いや、好きになっちゃったよ。

もう、こうなったら悩んでられない。
同じくらい惚れてもらわなきゃ。

可愛くて仕方ない、カッコいいひと。オレの、恋人。

あなたはいつでもオレを目一杯に甘やかしてくれるので。
キスマーク付けてっておねだりしようかなぁ、と。
そんなことを、考えたんだ。




「キスマーク、付けてよ」

「んふふ、りょーかい」






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