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小話【気象系BL短編集】

第57章 ホットミルクの底、たまった蜂蜜



side.M

くふくふとあなたが笑うのが聞こえてくる。
間がいいのか悪いのか、目撃されるのは何度目だろう。


「さっすがぁ。モテるひとは違うねぇ」


後ろから肩を組まれ、からかうような響きで言われる。
別にそういう誘いじゃないんだって。
否定の台詞が浮かんだけれど、聞く耳を持たないと分かってるからやめた。


「相葉さんもモテるでしょ。明るいし、優しいし」


何だかんだ真面目だし、オトナだし?
つらつらと出てきそうな言葉を呑み込み、何でもないように笑った。

スタイル良いし、男らしいとこもある。
お兄ちゃん気質だから面倒見も良いし、料理も出来るしさ。
おっちょこちょいではあるけど、素直に謝れるひと。
これでモテなかったら、可笑しいでしょ?
こんなにカッコいいんだから。

でも、女の子と一緒に、楽しんでるとこは見たくないなぁ。

優良物件だと思う癖に、何だか喜べない自分がいた。
二人で立っていると、絵になるって言われるじゃない。
だから、隣にいれば良いのに。
オレは引き立て役になってもイイのに。


「なに、褒めたと思ったら黙っちゃって。どうかした?」

「別に何でもないよ。じゃ、オレ行くから」


肩に乗っかっている腕を外して、サヨナラと手を上げた。
そうすると、こっちが恥ずかしくなる程の勢いで振り返される。

そんなところが可愛いとか。
いつからこんなオレになっちゃったんだろ?


おちちゃったから、どうしようもないけど。
恋に堕ちたままだから、どうにもならないんだけどね。









*****






























「口説かれてないで、さぁ」

「早く自覚して、オレのこと口説けよなぁ。潤ちゃん♪」


天真爛漫に見えるひとが、それだけじゃないって。
フィクションではありがちなことを、このときはまだ知る由も無かった。





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