第49章 単純なひと
side.A
どうして、言わなくて良いことを言ってしまうんだろう。
言っちゃダメって思った矢先、何故か勝手に口が動く。
バカだから、かな。何て言うか、足りない?
翔ちゃんは頭の回転が早いし。
ニノはどんなパスもしっかり返せるし。
松潤はいつも周りに目を配ってるし。
リーダーは、うん、色々凄いよ。
考えてるとどんどん落ちてく。
どうしたら回復するのか、オレはちゃんと知ってる。
*****
楽屋には、まだリーダーしかいなかった。
けど、もう一人の荷物が見えて、運が好いと思った。
「おはよう、リーダー!オレのこと、好き?」
「おはよ、好きだよ。てか、どしたの」
「何か、へこんだから」
きっと要領を得ないやりとりなんだろう。
でも、そういうのが効く。ふわふわで、ざっくりしたのが良い。
それから、ちょっとピリッとするのがあればオッケー。
「ねぇねぇ、松潤どこか知ってる?」
「そろそろ帰ってくるだろ。さっき出てったみたいだし」
そっか、とリーダーに返して、隣に座る。
そのまま何でもない話をぽつぽつと続けていく。
少し経って、特徴のある足音。
目配せをしたら、リーダーがニヤリと笑った。
「あ………はよ、相葉さん」
「松潤、おはよ。オレのこと、好き?」
「ぇ?あ、うん、好きだけど……………え?」
ぽかんと目を丸くする姿に、リーダーが思いきり笑いだした。
その反応に、松潤が頭を軽くぺしりとはたく。
そうそう、コレだよ。こういうので回復するんだよ。
「オレ、松潤もリーダーも大好き!」
へこんでたのがすっかり直ったし、心置きなく笑える。
勿論、松潤によるツッコミが入った。ちょっとだけ、痛い。
もしかしなくても、リーダーより強めだよね。
ま、いっか。いつもそんな感じするし。
好きだって言って、好きだって返ってくるのが良い。
よく分からないけど、この二人に言われるのが好き。
翔ちゃんにもニノにだって、言われたら嬉しくなるけど。
うまく言い表せないけれど、ほっとする。
それがどうしてか、とっくに知ってるんだ。
今はまだ、内緒にしとく。