第4章 需要と供給
side.A
きっかけは、オレのわがままだった。
頭を撫でてほしいって思ったから、お願いしたの。そしたら、聞いてくれた。
ほら、今日だって。
「コレでいいの?」
「最高だよ。ありがとねー」
分かんないって顔のリーダーを見て、得意な気分で笑う。
だってさぁ、たのしいじゃない。
殺気立つニノ、ムッとしてる翔ちゃん、表情を消した松潤、だよ?
羨ましいんでしょ、みんな。そんな顔してさ。
「ねぇねぇ、オレにだけしてくんない?出来たらでイイからさ」
「んー?いいよ、相葉ちゃんがそう言うなら」
やっぱり分かんないって顔だね。うまくいったから良いんだけど。
言質だっけ。前に翔ちゃんが言ってたヤツとれたし。
ほわほわしてて良かったなぁって思う。
天然とか言われてる手前、他のメンバーも強く出られないだろうしね。
リーダーの特別がもらえるなら。唯一になれるなら。
いくらでもズルくなれるよ。手に入れられるんだったら、何だってするし、出来る。
「ふふっ……リーダー、大好きだよ」
「んふふ、ありがとねぇ」
ふにゃんって笑うのも、やっぱ独り占めしたい。
ムリだって分かってるけど、どうしても欲しくなっちゃうよね。
だから、リーダーの袖を引っ張って、耳元で言ったの。
好きで好きでたまんないんだよ?
吐息交じりの低い声で、そう囁いた。マジに聞こえるように、さ。
一瞬ぴくってなったけど、耳が赤くなったから成功かな?
多分、こういうの好きだよね。少しずつ、意識してくれたら良いな。
もっともっとオレのこと考えて。頭いっぱいにして。それで、好きになってよ。
じゃないと、傷付ける覚悟をした意味が無くなっちゃう。
みんなのこと出し抜いてでも、オレはリーダーが欲しいんだから。
きっと、おかしくなっちゃったんだからね?責任とってくれないと、おかしいじゃない。
次は何をしよう。どんなコトを仕掛けたら、オレだけ見てくれるかなぁ。
さりげなさを装って、リーダーの指に触れた。また、ぴくりと動く。
ちょっとだけ、頬が朱に染まったのが見えたんだ。
ホントに期待しちゃう、よねぇ。