第12章 幸村のターン
翌日
氏政の命令により、氏照の直属の家臣たちの粛清が次々行われていた。
登城した幸村はすぐさま城内の異変に気がつき、昨日とはまるで違う空気に正直戸惑いを隠せない。
(一体何がどうなってんだよ……)
状況を把握しようと歩いているうちに直美の部屋の前にたどり着く。
小太郎はいない。
(襖を開けっぱなしで出かけるなんて、あいつ無用心な女だなー)
通りすぎるふりをして誰も中にいない事を確認したが、すぐに部屋の異変に気がついた。
床には拭い切れなかった血痕がまだ残っていたのだ。
(血の跡!?まさかあいつのか?)
近くにいた使用人に何でもいいから教えてくれと訴えると、あくまでも噂で他言無用ですがと言いながら教えてくれた。
弟の氏照の暴走と死。
護衛の忍に命を救われた織田信長の寵姫の存在。
氏照と共に謀反に関わっていた者の粛清。
どんなに釘を刺しても翌日には城内で噂になっていたのだった。