第27章 偽りの同盟
ところが広間を見渡す佐助の表情が一瞬にして険しいものに変わる。
『佐助君?どうしたの?』
『直美さん、伏せて!!』
『!?』
突然、静かだった広間に大きな爆発音が響いた。
部屋の一部が激しく燃え、黒い煙が外へ流れていく。
間一髪、床に伏せて爆発の衝撃を避けた佐助と直美だったが、目の前の出来事を理解出来ないでいた。
『直美さん、大丈夫?怪我してない?』
『うん、大丈夫。でも何これ、どうなってるの?』
突然の出来事に思考が追い付かない。
『おそらく広間にいた誰かが狙われてた。今はそれしか……立てる?ここから移動した方がいい。次の爆発が起こるかもしれないから』
『うん、立てるし走れるよ。早くここから移動した方がいいよね』
佐助に出された手を取り立ち上がる。
『城の外に出よう。織田軍も近くにいるはずだ。合流してしまえば安全だからね』
2人は広間を出ると佐助を先頭に城の外に向かって走り出した。
爆発音を聞いた謙信と信玄は急いで広間に向かう。
佐助がいるから大丈夫だとは思っていても心の焦りは隠せない。
もし仮に2人が未来から来たことを知った人物が2人を狙ったとしたら……
それは謙信にとって絶対に許されない事だった。
広間に着いた2人は佐助と直美の姿を見つけられなかったが、代わりに佐助が目印に置いていったまきびしを発見する。
そのまきびしを一つ一つ拾いながら進むと、城の外に出る裏門へとたどり着いたのだった。