第20章 毛利元就
信長も元就も直美に刀が当たらない様にしながら戦い続ける。
『そろそろ直美を離したらどうだ。貴様も上に立つ者なら正々堂々、正面から本気でかかってこい。それとも女を盾にしなければ戦えない腰抜けか?』
『片手でも十分だが、お望みならそうしてやるよ』
そう言うと元就は直美の前に立って再び刀を構える。
ようやく解放されたものの、この状況ではまだ逃げる事は出来ない。
少し離れた場所では光秀と謙信が毛利軍の兵を相手に戦っている。
すぐ近くで信長と元就が睨み合いながら戦う姿を息を飲んで見守る事しか出来なかった。
両腕が使える様になった元就の攻撃は力強く、それを受け止める信長の刀からは幾度となく火花が散る。
それと同様に、信長の攻撃を受け止める元就の刀からも火花が散っている。
(この状況、どうしたらいいの…)
何も出来ないのがとにかくもどかしかった。