第19章 白鳥城
一人、織田軍の本陣に残っていた光秀。
織田軍ではない軍が富山城に攻撃を仕掛けたとの報告を兵から受けていた。
銃と刀を手にすると腕の立つ兵に本陣を任せ、馬に乗って駆けていった。
富山城に近づくと上杉武田の兵が戦っている相手をじっくりと観察し、見覚えのある家紋を発見する。
『あの家紋、一文字三星紋(いちもんじみつびしもん)か。ならば毛利元就が率いる軍で間違いないな』
それは数字の一の下に丸が3つ三角形に並んだ家紋で、遠くからでも分かりやすい。
光秀は富山城に背を向け、毛利軍がやって来たと思われる方向へ静かに馬を走らせて行った。
しばらく走ると富山城から約5キロほど離れた海岸に何艘もの船が着岸しているのを見つけ、建物の影に隠れながら周辺を観察する。
用心深く見ていると、それぞれの船から毛利軍の兵が出てくるのが見えた。
中でも一番大きく頑丈そうな造りの船には何人もの見張りがいて、簡単に一人で近づける状態ではない。
(成る程、あれが毛利軍の本陣となる船だな)