第3章 1日
Rrrrrr……Rrrrrr…
頭に響く音で目が覚めた。7:30。今日も予定通りの時刻に起きた。まだ布団の中に入っていたい気持ちを抑えて準備をする。
『…おはよう……』
決して返ってくる事のない朝の挨拶。両親は共働きで家にいない日がほとんど。それは私にとって当たり前。朝食を食べ、食器を洗う。これももう慣れた。だが、まだ慣れない習慣がただ1つ。
『行ってきます…兄さん』
兄の前で手を合わせること。あれから3年の年月が経った今でも慣れる気配が全くない。
兄に一言してから玄関のドアを開けた。