第8章 summer memory③
上手く伝えられるかわからないけれど、岩泉さんに信用して話してもらいたい。
私は不器用なりに言葉を紡いだ・・・
「私、最初はあの人が大っ嫌いでした。意地悪で、我儘でナルシストだし。でも、色んな人に優しかったり、本当は寂しがり屋だったり、涙脆かったり、私の作ったご飯を美味しそうに食べてくれたり、よく笑ったりする彼の存在が・・・近くにあるのが、当たり前になっていました。
でも、今回のことで、及川さんから笑顔が消えていって・・・、もうあの笑顔が見れないって想像するだけで嫌でした・・・。
だから、少しでも彼を救えるのなら、私はどんな事を知ってもいい。彼に、及川さんに近づきたいですーーー・・・」
会いたい・・・そばに行きたい・・・
今すぐにでも、駆け出したい。
そんな衝動を抑えるかのようにぎゅっと膝の上で握った手に力がこもる。
「・・・わかった。相変わらず・・・あいつはむかつくな」
「えぇ!?」
「ここまで熱烈に想ってくれるやつ、そうそういねぇだろ」
と、目尻を少し下げて笑う岩泉さん。何だか言った私が恥ずかしいやつみたいだけど・・・私の思いは伝わったらしく、じゃあ・・・と岩泉さんの瞳は、また真剣なものへと変わった。
「初めから驚くかもしんねぇが、その手紙を渡した女は・・・」
ーーー・・・