第35章 a LOVELY TONE
輝くダイヤモンドが美しい・・・
私の指にぴったりの指輪・・・
私は、薬指に嵌められたそれと、
及川さんとを交互に見た。
「へ・・・?これって・・・」
「恋人として最後って言ったのは、さ・・・これからは、夫婦としてこういう所に来ようって事だよ。ほーんと、鈍いんだから」
くしゃっと笑う及川さん。
その笑顔が、指輪とさっきの言葉が真実だって教えてくれた・・・
そう思った途端、私は彼の胸元に飛び込んだ。
「及川さんっ・・・!」
まるで、彼がイタリアから帰ってきた・・・
あの時のように。
嬉しくて嬉しくてたまらないことを伝えるために、
ぎゅっとその体を抱きしめる。
「及川さん・・・っ、及川さん・・・っ!!」
こんなに幸せなことがあっていいのかな・・・?
涙が、今度こそ止まらない・・・っ
「はいはい、泣きすぎだってば・・・」
ちゅ、と額にキスをくれる及川さん。
それからこつんと額を合わせられる。
及川さんが好きな・・・愛情表現の仕方・・・
「りお・・・」
目を開ければ・・・及川さんの澄んだ瞳が私を映している。
「俺はもう誰かを愛することを躊躇わない。怖くない。
でも、一つだけ怖いって思うことはさ・・・
お前が昔は隣にいたんだなって思いながら生きていく未来がくること・・・。
もう、俺はお前を知ってしまったから。
りおを愛して・・・りおに愛される幸せを知ってしまったから・・・
俺はこの幸せを手放せないよ。
だから、俺の苗字を・・・貰ってほしい」
指輪を嵌めてくれた手が、私の手を繋ぐ。