第13章 〜希望〜
今日やっと零さんが帰ってくる。私はドキドキしながらその時を待っていた。
ピーンポーン────
と、インターホンがなって、一目散に走り、ドアを開けた。
『おかえりなさいっ!』
零「ただいま。」
満面の笑みで出迎えて、零さんは少しだけ微笑んでキスしてくれた。そっと抱きしめられて、腰に手を回される。口内に零さんの舌が入ってきた所で私は離れた。
『ダメですっ!』
零「なんでだ、約束してたじゃないか、帰ってきたら愛するって。生理か?」
『ちっ、違いますっ!ずっと二人で待ってたんですよ、零さんが帰ってくるの!』
零「あぁ、大尉にも挨拶しないとな。でもそれは後で。今は真恋音を愛したい。」
『うぅっ...だからダメなんですってば!』
本当になぜだか分からない。そう言いたそうな零さんに、私は遂に言った。
『お腹に赤ちゃんが居るんです。今妊娠9週目ですよ。二人で、大尉を入れたら三人で、零さんの帰りを待ってたんです。』
零「ほっ、ほんとか!でかしたな真恋音!ここに俺達の赤ちゃんが居るんだな!」
そう伝えればとっても嬉しそうにはにかんで。私を抱き上げ、お腹を摩られた。
零「名前は!?」
『零さん、落ち着いて、まだ性別も分からないのに、名前なんて。』
零「ゆらって名付けたい。」
ゆら?なんでだろう。降谷ゆらって言いにくいけど。
『漢字は?どう書くんですか?ふるやゆらって言いにくいですよ?』
零「理由の由に、良心の良だ。それで由良。この子の生きる理由が全て良いものであるように、逆に誰かの生きる理由がこの子であるように。ゆらくんでも、ゆらちゃんでも、どっちでもいけるだろ?」
『とってもいい名前ですね。』
きっと今日から、この子が私たちの生きる希望になる。
零「そうだ、俺からも連れてきた子が居るんだけど。」
さっきから気にはなっていたけど、聞くに聞けない状態だった、その大きなカバンみたいなキャリーケース。
零「大尉にお嫁さんを貰って来たんだ。」
『お嫁さんですか?』
零「警視庁にのところに捨てられててな、俺が拾ってきたんだ。名前も俺が付けた。雪って言うんだけど。少しビビりなんだ。慣れるまでは時間がかかるかもしれない。」