第10章 10
神田のことは同じクラスだし、もちろん知っている。
でも、俺が神田のことを記憶しているのは、同じクラスだからってだけじゃない。
神田とは、席が隣だ。
「菊池」と「神田」だから、出席番号順に並ぶと隣になる。
俺は、高校生になったからには人見知りを克服したいと思い
思いきってあいつに話しかけた。
するとあいつは、笑顔の一つも見せず
必用最低限の反応しかしなかった。
今までは、そういう愛想っ気のないやつらに出会うと
金輪際関わらないと思ったけど
あいつは単に愛想が悪いだけには見えなかった。