Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
二度も奇跡的にお隣同士に案内されるって、そうあることじゃないと思うんだけど。
彼はもしかして、ここの常連さんなんだろうか。
……あっ。ゲーム超低レート相手に負けてたし。
イチャつかなくても私に迷惑かけるとか、やっぱりこの人最低だ。
敗戦の苛立ちを心の中でお隣のイケメンのせいにしていると、
丁度美味しそうな匂いと共に運ばれてきたオムライスとハヤシライスにナツの頭から食べ物以外の事が吹っ飛んだ。
鮮やかな、黄色くて滑らかな丸みを帯びたこのフォルム。
そんな卵にスプーンを差し込むと、ふわとろの半熟卵に覆われたチキンライスがお目見えだ。
一口頬張れば口の中で、卵とケチャップがチキンライスと夢のコラボ!
ヤバい!超美味しい!美味しさで死ねる!
今日も1日良い日だった!
空腹の中食べたお気に入りのオムライスの味は、ナツの中の精神衛生上よろしくない記憶を一瞬で消去した。
次はハヤシライスー!
ルンルンと鼻歌でも歌い出しそうなナツがハヤシライスをスプーン一杯に乗せると、ふと隣から視線を感じた気がした。
気のせいか?
でも見てるとしても、どうせオムとハヤシを別居させた私に文句でもあるんだろう。きっと。
過去数回に渡って突っ込まれてきたオムとハヤシの夫婦の在り方には、色々と察しているものがあった。
全ての夫婦が一緒に住めば幸せって訳じゃない。
気になるなら是非試してくれ。
感じる視線は価値観の違いということで決着をつけて、スプーンの上でスタンバイ完了のハヤシライスを頬張る。
その後も黙々と食べ続けていたのだが、やはり未だに見られているような気がして落ち着かない。
なんとなく居心地が悪くなったので、綺麗に完食した空のお皿に手を合わせ、早々に店を立ち去ろうとした。
「お兄さんもしかして芸能人?凄いカッコイイ!!ねぇここ良く来るの?1人?隣座っても良い??」
逆ナン!
まぁ、こんだけイケメンなら当然か。
お隣の彼が逆ナン女子の誘いを了承したのかは分からないが、彼女は私と反対側の席に腰掛けにこにこと彼に笑いかけている。
もしかしたら前回の時もナンパされていたのか?
そんな考えが一瞬頭を過ったが、どちらにしても自分には関係のないことだという結論に至り、今度こそ店を後にした。