Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「……ああ。そいつの上司は誰だ。」
「そうか。そいつとリデル、今日付けで懲戒免職にしておけ。」
「悪いな。頼んだ。」
……なんだと?
これは……私の勘が外れていなければ、そういうことか?
ナツに背を向けるように立ち電話をしていたローは、携帯の通話を終えた。
彼が通話を終えてため息を付いたのは、顔の見えない位置にいるナツからでも分かる程だった。
「ロー?さっきの電話って……」
「ああ、上がったか。着替えが届いた。着てろ」
ローから渡された服はドレスではなく、ワンピースとカーディガンのようだ。
生地が上質なのは一目で分かるが、パーティー向きではないそれ。
ナツはもうあの会場で嫌味と戦わなくて済みそうだという事にほっと胸を撫で下ろした。
「おい風邪引く。それともお前、……誘ってんのか?」
「違っ……!!そうじゃなくて!!さっきの電話……
ピリリリリリ
ピリリリリリ
ナツの言葉を遮ったのは、ローの携帯の着信音。
ローは画面を確認すると僅かに眉を寄せ、そのまま通話ボタンをタップした。
「なんだ。」
恐らく仕事の電話だろうそれに、ナツは口をつぐんでローを見上げていた。
「俺は言ったよな?上からの命令には絶対服従だと」
ナツはローの苛立ったような口振りとその内容に目を見開く。
「何年勤めた。うちの看護師内の序列は今に始まった事じゃねぇだろ」
ナツの予想は恐らく的中している。
「散々甘い汁吸っといて都合が悪くなりゃ知らねぇだ?んなもんまかり通ると思ってんのか」
この電話の相手は……
ローが話している内容は……
「何度も言わすなリデル。お前も部下の看護師も、今日付けで懲戒免……っ!?」
ナツはローに突進した。
彼の腰に手を回し、ふるふると首を振っている。
ローは急な衝撃にも驚いたものの
初めて自分から触れてきたナツに、内心とてつもなく動揺していた。
動けずにいるローの胸に顔を埋めながら、ナツはそれは駄目だとでも言うように
ただ首を横に振り続けた。