Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第8章 ロー
「…因みに、嫌だって言ったら?」
ナツとしてはローの要求はあまり飲みたくない。
無駄な気しかしないものの、一応それを聞いてみた。
「その時は、一生ここから出すつもりはねぇ。それも、長さを調整する」
「……」
顎で右足に繋がれた鎖を指しながら、事も無げにそう話すロー。
予想を若干上回ったその回答に、ナツはソファーの背もたれに寄り掛かりため息を吐いた。
何か軽い感じで仰いましたけど。
言ってる事がどんだけ犯罪染みた重要事項なのか、この人は分かっているんだろうか。
というか。
院長は結局やっぱり私が好きなのか?
これはアグレッシブ過ぎるヤンデレっていう見解で合ってる?
「非常に今更なんですけど。……思い出す思い出さないって、何ですか?」
ナツは先日の会話を思い出し、ずっと引っ掛かっていたことを聞いてみた。
「……」
しかし聞くだけ聞いておいて、意外にも彼はあれが何の話なのかを教えてくれるつもりはないようだ。
何か考えてるような仕草をしている院長。
そんなに、言いずらいことなのだろうか。
ナツは暫く彼が口を開くのを待っていた。
「……今話す必要はねぇ」
漸く返事が返ってきたかと思えば、それは拒否を示すもの。
「…さようですか」
拒否るなら別に無理に聞こうとは思わない。
……思わないが。
じゃあ彼のこの行動を私はどう納得したら良いんだ。
もう色々面倒になってきたから、彼が私を好きだと言う前提で話を進めるぞ。
ナツは目の前でしれっと長い足を組みながら座っているヤンデレ男に視線を合わせ、ごくりと唾を飲んだ。
「……もう、色々考えるのが面倒になってきたので、1つ提案します」
ナツは大きく深呼吸をすると、一歩間違えれば勘違いも甚だしい言葉を口にすることにした。
「もし、院長が私を好きだと言うなら。まずはお友達から始めましょう」
ナツが静かに発した言葉は、ゆっくりと部屋に響き渡った。