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【戦国BASARA】薬師シリーズ【その他MIX】

第6章 月より美酒より何よりも(薬師視点・謙信)



「ですが ひとつだけ…ただひとつ、ねがいが あります」

「え?」

「ゆめき。こよいは、わたくしと ともに いてくれますか?」

「っ……謙信様。今宵限りと言わず、いつでも、いつまでも」


気持ちをうまく伝えられないもどかしさに、涙がこぼれる。

そっと、なぐさめるように触れてきた手に身体の力を抜き、目の前にある謙信様の胸に頭を預けた。

まぶたを閉じれば聞こえてくる、常より早い鼓動の音。


「ああ、ひかりよ。そのようなことを いってしまえば、わたくしは にどと そなたを はなせなく なってしまう」

「謙信様が望むのであれば…かまいません」


背中に回された腕が、力強く私を抱きしめた。

珍しく余裕のない仕草に愛しさが込み上げ、なんとか少しだけ体勢を変えてから良い香りのする首もとへ、甘えるように顔をすりよせた。


「…謙信様」


私の心はいつだって、あなたのおそばに。


▼・▽・▼・▽・▼
季節は秋で、月見酒〜なお話。
いくら今が平和とはいえ、いつどうなるかわからない戦国の世。
謙信様も薬師さんも、お互い不安で心配を抱えています。
そして謙信様には、きっとべつの心配もある。
薬師さんが涙を見せて甘えられるのは、今のところ軍神の前のみだったり。
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