第5章 わんこと衣装(薬師視点・幸村・佐助)
「あーあ……旦那ってば、かわいそうに」
「おや、佐助さん。こんにちは、お久しぶりです」
「ん、久しぶり。―――にしても、夢姫ちゃん…あんたってお人は、大人しそうな顔して酷い女だよ」
ジトッ…そんな効果音がしてきそうな半眼で、佐助さんは私に視線をよこしてきます。
酷い女?
嫌ですねぇ。そんな、人を生粋のサディストみたいな言い方しないでほしいものです。
せめて、小悪魔と呼んでください。
「どこが小悪魔?真田の旦那をからかって遊んでるだけでしょうが!」
「いてっ」
頭にチョップをくらいました。
痛い、痛いです。
「佐助さん。女性の頭を叩くなんて酷いです」
「手加減してやっただろ」
「そんなんじゃ、モテませんよ」
「忍がモテてどうすんの」
「まったく、ああ言えばこう言う」
「あんたもな」
ぐぅ………佐助さん相手だと、これだから面白くない。
だから余計に、ついつい幸村さんをからかい過ぎてしまうんですよねぇ。
「それじゃ、俺はまだ用が残ってるからもう行くけど」
「ああ、はい。ではまた、後で」
そう言うと、佐助さんはちょいちょいと手招きをする。
不思議に思いながらも近づけば、内緒話をするように私の耳元へ口を寄せて。
ちゅっ。
「っ…!?」
耳に感じた温かさと、柔らかい弾力。