第8章 8
「…やっぱお前ら付き合ってんじゃねェか」
『だからー、違うってばー』
立石の目は嘘をつくような目じゃなかった
ここで暫く沈黙を挟む
居心地は悪くなく、むしろ良いものだった
『土方君』
ふいに立石が声をかけてくる
『あたしさ、この間…焼き肉の日、何か変なこと言った?葉は何も無かったって言ってたけど、本当の事を言ってるようには思えなかったの』
立石の目は真剣そのものだった
俺は迷ったがあの目には勝てない
「…はぁ。俺に聞くなよ」
『土方君!』
「…分かった。教える。代わりにお前のことも教えてくれ」
『…分かった』
交換条件とは我ながら卑怯な手を使ったと思う
けどこうでもしなきゃ聞けない気がした
そしてそれ以上に俺は立石のことが気になった