第11章 -そんなの聞いてません-
事の始まりは部活が終わった部室で起こった。
「皆、お疲れ様。疲れてるとこ悪いんだけど、明日の氷帝での練習試合について真田から説明があるんだ」
え?練習試合?
「幸村!明日は土曜日で休みだけど」
「そうだよ。明日は氷帝と練習試合するんだ」
いや何、当たり前ですけどみたいな顔して言ってんの?
「私練習試合があるなんて聞いてないよ?」
「何言ってるんだい?言ったじゃないか」
「いや、聞いてな」
「言ったよ……?」
「ははは!そうだったね、言ったよね!私何勘違いしてんだろう!」
幸村の圧力半端ねぇ!でも私そんなこと一切聞いてないからね!?
「フフフ……じゃあ真田。説明してくれるかな」
「うむ。明日は7時に学校集合で、ここでウォーミングアップを済ませてから8時に出発する予定だ。くれぐれも遅れぬよう気合いを入れておけ!解散!」
──という事で、バスで移動中。
「先輩、何溜息吐いてるんスか?幸せが逃げちゃうッスよ?」
「現在進行形で逃げてるよ。っていうか隣座らないでくれる?」
一人で乗っていた座席の隣に切原が座ろうとするが私はバッサリ切り捨てる。
以前、切原のスクープ記事を書こうとして悲惨な目にあったからなるべく関わりたくないんだけど……。
「良いじゃないッスか!減るもんじゃないし」
いやだから確実に減ってるって。切原の存在で私の使用スペースが。
どうしてこんなフレンドリーなんだこいつは。あんなに私をファンクラブの子と勘違いしてたのに。
ま、いいか。お腹減ったしお弁当食べよ。丸井は後ろの席だし取られる事はないよね、きっと。
「あっ、先輩一人だけ弁当持ってきたんスか!?」
「だって朝食べられなかったし」
「こういう時は皆の分も作るっていうのがマネージャーの仕事じゃないんスか!」
知らねーよ!そういうのは漫画の世界だけだろ!乙女か!
「丸井のお菓子でも食べてなさいよ」
「そんなんじゃ腹膨れないッスよ!一個だけ!」
「絶対あげない!」
「じゃあ俺が頂きぃ」
上から降ってくる声と共に私の唐揚げが消えた。
「お前は忍者か!それに最後の一個の唐揚げ……!」
「丸井先輩ズルい!俺も下さいよ!」
「ちょ、こら!アスパラベーコン巻き食べるな!」
何これデジャブ!?
「お前ら静かにせんか!もう氷帝に着くぞ!」
とうとう着いてしまった……。
