【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集
第6章 彼女の自信〜帰り道で〜 (月島 蛍)
部活終わりの帰り道。
私の数歩先を歩いていた月島君がこちらを振り返った。
「ねぇ。後ろ歩かれると、一緒に帰っている意味ないんだけど。」
こういう発言を皆は意地悪だと言うのだろう。
でも、本当は鈍臭い私が後ろで転けたりしないか…心配をしてくれている。
少し歩く速度を上げて、月島君の左側に並ぶ。
「ありがとう。月島君。」
私なんかを気に掛けてくれて。
私は月島君に助けられるばっかりで、何の助けにもならないね。
「何が?それより、いつになったら…いや、いい。」
何かを言いかけてやめた月島君の深いため息が、私の背中を押す。
「あの…月島君。私達…別れよう?」
月島君が立ち止まってこちらを見る。
そこには、私が想像していたような表情は無かった。
「は?何でそんな話になったの?意味わかんないんだけど。僕の事が嫌になった?」
なんで…月島君はそんなに悲しそうな表情をしてるんだろう。
「ちが…」
違う。そんな表情をさせたかった訳じゃない。
「何が違うのさ?じゃあ、他に好きな奴でも出来た?」
こんな泣きそうな月島君を見たかった訳じゃない。
「そんな訳ない。私は月島君が好きだよ!」
菅原先輩は言っていた。
真っ向コミュニケーションだって。
私の気持ちを真っ直ぐ伝える事だって。
「じゃあ…何で別れるなんて言うんだよ。」
月島君の眉間の皺が、見たこともないくらい深く刻まれていて、少し萎縮しそうになる。
けど…私の気持ちを伝えたい。
そして…月島君の気持ちが知りたい。