• テキストサイズ

まだまだ青い白鳥たち

第11章 これからもずっと(最終章)


「牛島!」
「…緑川か」


今日からバレー部では新入生の受け入れが始まる。もともとスポーツ推薦で入学した子は春休み中から練習に参加していたんだけど、一般入試の子は今日から入部届の提出が認められ、可哀想だけど実力テストを経ての入部となる。…女バレは誰でもウェルカムなんだけどね。


「これから一週間はレクチャーしながらの練習になるね」
「ああ。だが、見込みがありそうな奴も何人かいる。楽しみにしていたことだ」


牛島はそう言うと本当に楽しそうな笑顔になった。良かった。つい先月の春高では、またもや男バレは3回戦で敗退してしまった。かなり落ち込んでいた牛島だけど、新入生が入ってくることで気分が切り替えられたようだった。


「…次のインターハイではレギュラーに入れ」
「言われなくても!本気で狙ってくから!」
「では、いつまでもコントロールが下手なレシーブをどうにかしなくてはな」
「うっ…」


天童くんと正式にお別れをして牛島と付き合うようになって。牛島は昔のようにバレーの練習を一緒にやってくれるようになった。昼休みに中庭でラリーをしたり、オフの日に公園でちょっとやる程度だけど。それでもバレー好きな私達にとってはいいデートといえるかもしれない。


「…牛島だって、サーブミス多くて鷲匠先生に怒られてたクセに」
「……見ていたのか。悪趣味だぞ」
「牛島もよく女バレの体育館に来るじゃん」
「あれはお前を見に行ってるんだ」


…突然の爆弾。本当にいつまで経ってもこれだけは慣れない。でもこんな言い合いができるように戻れたことが嬉しい。高等部にあがってから本当に遠回りしてしまったけど、色んな人の思いがあったからこそ私達は恋人同士になれたのかもしれない。



「……また新入生の女子が牛島見てキャーキャー言うのかな。すごく可愛い子がいたら私は牛島取られちゃうかもね」


自信の無さからくる自虐だけはすぐには直らない。白鳥沢学園の運動部で一番の有名人が彼氏なのだ。不安にならないほうがおかしいだろう。


「別れは…必ずいつかやってくる」


慰めを期待したけど、思ってもみない方向の言葉が返ってきた。
/ 81ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp