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まだまだ青い白鳥たち

第10章 リードブロックとゲスブロック


私は定食を取ってきて、牛島の正面席に座った。小鉢が多くて美味しそうな定食だったけど呑気に食べている場合でもない。牛島に本題を話そうとした瞬間、


「…天童のことだが」


先を越されてしまった。そう、まさにそのことを牛島に話そうと思っていたところだった。


「お前が気にすることは何もない。俺が話をしてくる」
「待って!それは駄目だよ、私がちゃんと話をしないと」
「お前と天童が付き合っているのを知りながら、お前を奪うような真似をした。それは俺の勝手な行動にすぎない。責任は俺にある」
「牛島…」


全ては私がハッキリしない態度を取っていたせいだ。天童くんはそれを許してくれていたけど、絶対嫌な思いをしていたに決まっている。最後まで天童くんにちゃんと向き合いもしないで牛島にだけ全てを押し付けるなんて出来ない。


「ううん、それは私の役目だよ。牛島にはただ待ってて欲しい」
「…大丈夫か?」


牛島は試合前にビビりやすい私の性格もよく知っている。いつも心配ばかりかけてしまうけど、大丈夫。天童くんを傷付けてしまった罰はちゃんと受ける。


「今日、天童くんと一緒に帰るね。ちゃんと話してくる」
「…何かあったらすぐに連絡しろ」
「うん、大丈夫」


その後も一緒に食事をしながら、今日の男バレは個人練習で終わることを聞いた。いつもよりも終了時間は早いということで天童くんを誘いやすい。


食堂で牛島と解散してから私はスマホを取り出した。LINEの送信先は天童くん。


『今日部活終わったら一緒に帰らない?話したいことがあるんだけど』


ちょうど画面を開いていたのか、天童くんからはすぐに返信がきた。


『うん、オッケー。いつもの所で待ってるね』


天童くんが指定したのは、いつも一緒に帰る時に待ち合わせしてた場所。私がグズグズと片付けが遅いせいでいつも天童くんを待たせてしまったあの場所。


思えば天童くんはいつも笑顔で「お疲れー」って手を振ってくれてたな。男バレのメニューのほうが圧倒的に辛いはずなのに。寮生活なのにいつもバス停まで送ってくれて……


…そこまで考えたところで私は涙を堪えることが出来なかった。あまりにも優しすぎたのだ、天童くんは。
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