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まだまだ青い白鳥たち

第1章 これからもずっと


「えっ、そうなんだ。一年の間じゃ二人は付き合ってるって思ってる奴多いぜ。あ、俺は瀬見っていうんだ。よろしくな」


やけに男前の男の子はニカっと笑って自己紹介してくれた。少し取っ付きづらそうな印象だったけど、実は優しい人なのかもしれない。


「…どうも。私は緑川 なつみっていいます。同じ一年だし、これからインハイ目指して頑張ろうね」
「おう!緑川はポジションどこなの?俺はセッター」
「ほんと?私もセッターだよ。嬉しいな。セッターならではの楽しさもあるよね」
「そうそう!お前分かってんじゃん!」
「…ちょっと~、英太くん勝手に盛り上がらないでくれない?なつみちゃんは俺が先に目ぇ付けてるんだからサ~」
「目付けてるってお前なぁ…」


気付けば天童くんの左手が後ろに回っていて、急に肩を抱かれた。本当に急に触れられたから思わず「きゃっ!」と声が出てしまう。…本当に天童くんの動きが読めない。この人、ブロックよりスパイカーのほうが向いてるんじゃ…



「おい、天童」



他の一年生と話し込んでいた牛島が私の目の前に移動してきた。心なしか少しイライラしているような…。


「緑川が困っているだろう。さっきから何をしているんだ」
「ちぇ~。彼氏のご登場かぁ。」
「彼氏?」


…やっぱり牛島もその単語に困っているようだ。眉間にシワを寄せながら口元がムっとしている。そうだよね。仲良いのは確かだけど、周りに誤解されっぱなしは牛島にも気の毒だ。


「あのね、牛島。私達付き合ってると思われてるんだって。中等部時代からずっと仲良いし…」
「…。」


ほら、やっぱり困っちゃった。牛島はこういう話題が苦手だ。前に一度同じクラスになった時も、女子に告白されたとかで悩んで相談されたことがある。恋愛ごとは私も得意分野ではないんだけどね。


「…緑川は嫌か?俺と付き合っていると誤解されるのは辛いか?」
「へっ?」


牛島が突拍子もないことを言い出すから、思わず変な声が出てしまった。


「…若利クーン。そういう発言のほうがよっぽどなつみちゃん困ると思うヨ」
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