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まだまだ青い白鳥たち

第6章 奪ってもいいか


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「えー、みんなお疲れ様。荷物搬入は終わったので、この後は各自ストレッチと基礎メニューだけやってから部屋に戻れ。
その後は食事まで自由時間とする。以上!」
「「「はい!!!」」」」


女バレ監督の指示が終わり、みんなゾロゾロと体育館へと移動する。合宿所まではバスで1時間ちょっとだった。無事に荷物搬入も終わったところで既に16時。今日はハードな練習がないことに思わずホッとする。


「なーーんだ。今日は強化メニューなしか」
「…リカコさすがだね」
「男子はインハイ選抜メンバー、早速100本サーブらしいわ」


男バレの荷物搬入をしていた高岡さんが女バレのバス前に戻ってきた。初日から100本サーブ…。男子の夕飯は遅い時間になることが確定した。


「ひえ~~鷲匠先生こわっ」
「…数の多い練習が必ずしもいいとは限らないわ。その点、女子のほうは全体的にバランスのいい練習メニューだと思う。この合宿ではいろいろ勉強させてもらうわね」


故障を経験した高岡さんならではの意見だなと思った。だが鷲匠先生に進言してみると言い出したので、さすがにそれは止めておいた。せっかく白鳥沢のバレー部員の一員になれた
のだから自らを窮地に追いやる必要はない。


「あらそう?牛島くん達が3年生になった時には全国制覇して欲しいから」


ニッコリと笑った彼女は、絶対に明日鷲匠先生とバトルを繰り広げるだろうことは全員に予想できた。わかったよ、もう止めないよ…。


高岡さんや成田さんといった、普段側にいない人達に見守られながら、私とリカコは一年生を呼び集めストレッチの声出しを始めた――――ところで、体育館の入口から慌てたような声が聞こえる。


「…え?それは困りましたね」


珍しく困った様子のコーチ。合宿所の従業員と思われる中年女性に何か相談されたようで「うーん」と顎に手をかけてしばし悩んでいる。


「…一年!ちょっと来てくれないか」


こちらを振り向いてコーチは私達に呼びかけた。一体どうしたというんだろう。
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