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まだまだ青い白鳥たち

第6章 奪ってもいいか


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「ほら、全員さっさとしろよー!バスに荷物積みこめー!」


男バレ主将の掛け声が学園の正門前に響き渡る。合宿移動用のバスは全部で5台にもなり、下校途中の生徒達はそれを邪魔そうに避けながら帰っていく。それでも明日から夏休みだから皆の表情はどこか浮足立っているように見えた。


「ボールはこれで全部ね?ドリンクボトルはこっちにまとめてあるから大丈夫、それから…」


女バレ一団に混ざってテキパキと動いてくれているのは高岡さんだ。移動は女バレと一緒にするらしい。


「緑川さん、そういえば成田さんの座席は決まってるの?」
「ああ、成田さんは私の隣なの。他に知り合いもいないしね」


高岡さんに質問されて思い出す。クラスメイトで学園新聞サークル所属の彼女もこの合宿に参加することになってたことを。まあ、彼女の取材対象はもちろん男バレなんだけど。合間に女バレの手伝いをするという約束でコーチからは参加許可が下りた。


「緑川さ~~~ん!遅くなってごめん!合宿に入る前のコメントもとりたくてさぁ」


噂をすれば成田さんが集合場所に到着した。とは言っても、すぐそこで男バレの副主将にインタビューしてたんだけど。


「ううん、まだ荷物の積み込み終わってないし大丈夫だよ。今日からよろしくね」
「こちらこそ!バレー部の皆さんに迷惑掛けないように頑張るよ!」


ニカッと笑った彼女は思ったよりも体力はありそうで安心した。朝から夜までの夏合宿だから本当に体力勝負だし…。


「なつみちゃん!」


後ろから天童くんがいきなり声を掛けてくる。付き合っていてもこれだけは本当に慣れない。


「ど、どうしたの、もうバスの乗り込み始まってるよ?」
「うん、バス酔い大丈夫かなーって思って。この飴美味しいからあげる」


天童くんが美味しそうなマスカット味の飴を一袋まるまる渡してくれた。普段からバス通学だし、合宿所もそこまで遠くないのに、天童くんは本当に優しい。


「ありがと。天童くんこそ大丈夫?」
「俺は本も読めちゃうくらい大丈夫」


なんとなく色気を含んだ目で見つめられて思わず視線を逸らしてしまう。
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