• テキストサイズ

まだまだ青い白鳥たち

第4章 利害


「えー、というわけで。練習の一環として、3日間鷲匠先生に女バレを監督して頂くことになりました。この貴重な機会を無駄にせず、皆一生懸命取り組むこと!」


「「「「はい!!!!」」」」


…いやいやいや、マジで!?ってみんな内心では思ったはず。鷲匠先生の怒声は女バレ部員なら誰でも知っているほど有名だし、とにかく一つ一つの練習がしつこいというか徹底してやるスタイルだ。目を付けられたら最後。鷲匠先生が納得するまでは家に帰れないと思ったほうがいい。


「…俺は女バレだろうと手は抜かねぇからな。気合い入れてけよ。全国狙ってるんだろうが」


みんなの空気が一瞬で変わった。全国――。白鳥沢学園は男女両方で全国出場した経歴がもちろんある。私達の代で絶対にそれを復活させたい。


「…緑川さん頑張ってよ。燃えるじゃん、こんなの絶対」


鷲匠先生のサポートで高岡さんも今日は女バレに来ていて、私の横で一緒に整列している。元スポーツ部員だもんね。彼女の目も闘志溢るるといった感じだ。


「もちろん。悲願の男女一緒に全国出場ってやつ、叶えたいもんね」
「…牛島くんは調子良くないみたいだけどね」
「え…」


それだけ言って彼女は鷲匠先生に指示を仰ぎに行ってしまった。牛島調子悪いんだ。最近はこっちの練習が忙しくて男バレの練習試合も見に行けてなかった。考え事をしてたりすると怪我にも繋がる。怪我しないといいんだけど。


「おい!覚の彼女!」
「え!?あ、はい!?」


いきなり鷲匠先生に呼ばれて驚いた。覚の彼女って!鷲匠先生にも気付かれていたことが心底恥ずかしい。


「今は三年生中心に練習メニュー組むから、一年は筋トレしとけ。お前はちょっと男バレ行ってこの紙を主将に渡してこい」
「はい!わかりました!」


紙を預かり私は男バレの体育館に向かう。鷲匠先生も女バレはアウェーだもんな。天童くんの彼女っていう私だと少しは話しかけやすかったのかもしれない。鷲匠先生も可愛いところがあるな…なんて思いながら紙を見てみると、インターハイ選抜メンバーの練習メニューだった。細かく選手ごとに調整してある。


牛島の今日の課題はサーブ練習だった。
/ 81ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp