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まだまだ青い白鳥たち

第4章 利害


「…なつみちゃーん!いる?」


天童くんに告白(あれは告白というのだろうか)をされてから一週間。マメなことに、天童くんは毎日女バレの練習メニューを聞きにきて、基礎練だけの日は私をバス停まで送ってくれるのだった。


「天童くん、あとでちゃんとLINEするから」
「さーとーり!名前で呼んでってば」


…毎日こんな調子ではさすがに私の心臓も持ちそうにない。牛島が同じクラスじゃなくて良かった。正直こんなところ牛島には見られたくない。天童くんが彼氏になったというのに、私は相も変わらずずっと牛島のことばかり気にしている。いい加減にしろ、私。


「あっ、俺つぎ体育だった!また後でネ」
「うん」


天童くんは廊下を走って戻っていった。私も自分の席に戻ろうとした時、入口付近でいつも話しているからか、ドア付近にいたクラスメイトに話しかけられる。


「緑川、天童なんてどうやって捕まえたの?アイツ意外とモテんじゃん。俺こないだアイツが女子に手紙もらってんの見たよ」
「…はは。捕まえたというか」
「あいつが勝手になつみに付きまとってんの!」


購買にパンを買いに行っていたリカコが戻ってきた。焼きそばパンにコロッケパン、サンドイッチにカレーパン…両腕から零れそうになるくらい抱えている。いくら部活で運動するからってものすごいカロリー…。


「でも緑川って牛島と仲良かったよな?牛島はいいわけ?」


…なかなか痛いところを突いてくる子だ。いま一番聞かれたくないことを…


「…牛島は中等部からのただの友達だから」
「ふーん」


リカコに手を引っ張られ、私達は自分の席に戻る。また天童くんとドア付近で話した時、彼に色々聞かれることになったら嫌だな。クラスメイトの子が気付いているくらいだから、牛島ももう気付いているのだろうか。天童くんと二人きりの時には会ったことはないけれど。胸にモヤモヤとした気持ちが広がっていく。













インターハイの選手選抜期間も終わり、結局私はレギュラーに選ばれることはできなかった。それはリカコも同じで。


一年生でレギュラーに選抜されたのは男子の牛島ただ一人だけだった。友達としても同じバレー部員としても、牛島とはどんどん距離が開いていく。
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