第9章 愛のご奉仕
三月side
彼氏バカって言われるかもだけど、オレの彼女は最高だと思う。
コロコロ変わる表情は可愛いし、いつもオレのことを応援してくれる。
もちろん性格だけじゃ無くて外見も可愛いと思う。
髪なんかはさらさらで気持ち良いし、色白だし、何よりオレよりも小さい。(オレは165cm、彼女は155cm)
こんな感じで「あいつに出会えて幸せ者だなぁ〜」って思ってたんだけど……。
「み、三月……私、頑張るから………!」
「いや、おい、ちょ、待て」
今、なぜかその彼女に馬乗りされてるのは何でだ?
「もしかして、やだ……?」
「いや、そうじゃない。ただ……頭の整理をさせてくれ……」
オレは彼女にそう告げると、どうしてこうなっているのか記憶を辿り始めた。
「確か、今日はオレの家でデートだったよな」
「うん。三月の久しぶりの休みだからね、会いたかった。テレビ越しにいつも会ってるけど…やっぱり本物がいいね」
「……おまえ、ちょっと八乙女に似てるよな」
「どこらへんが?」
「恥ずかしいことをさらっと言うところ」
彼女はコテンと首を傾げた。
「思ったことを言ってるだけなんだけどなぁ……」
「………まぁ、この話は置いとこう。えっと、それでオレの部屋でケーキ食べてたんだよな」
「うん。三月の作るケーキは相変わらず美味しいね。たくさん食べちゃうから太っちゃうよ」
「いや、おまえ細いんだからもっと肉付けても大丈夫だろ」
「そう?じゃあ、今度からは三月のケーキ遠慮なく食べるね」
「おう!食べろ食べろ!……って、話がいつの間にかずれてる……」
「あー、本当だ」
「えっと……ケーキ食べて、色々駄弁って……」
「で、こうなった」
彼女がオレの上に乗ったままシーンとした空気が流れた。
「いやいや、おかしいだろ」
「何が?」
「話ししてただけだったのにいきなりオレが押し倒されてることだよ!」
「……だめ?」
「だめも何も理由を教えてくれよ。なんでいきなりこんな事しようと思ったんだ?」
彼女はまた首を傾げた。
「………言ってなかったっけ?」
「………言ってないな」
「あー……知りたい?」
「知りたいだろ。普通」
「うー………」
くるくると彼女が毛先を弄ぶ。
これは何か恥ずかしがっているときの仕草だ。
「言えよ、早く」
「………ご奉仕、しようと思ったの………」
「は………?」