第20章 いざ!出陣! 【20】
三人で広間を出ると私は行き先も告げず廊下をズンズン進む
庭が見えてくると廊下から下り庭へと出た
一期「主殿?何をするのですか?」
二人に向き直りう~んと伸びをすると空を見上げる
鶴丸・一期「?」
『鶴丸ー!私、空飛んでみたい!連れてってー!』
鶴丸「無茶言うな!飛べるわけ無いだろう!?」
『むぅ~じゃあ屋根の上に連れてって?』
鶴丸「どうしたんだ!?高い所、苦手だろう!?」
二人が驚き廊下から飛び降り私へと駆け寄った
一期「主殿?どうしたのですか?」
『え~私そんなに変な事言ったかなぁ?良いでしょ?ね?ね?』
一期「高い所に登って大丈夫ですか?」
『勿論、一期さんと鶴丸に一緒に来てもらうからね?二人が一緒なら怖くないでしょ?』
二人は困ったように顔を見合せ笑うと鶴丸に抱上げられた
鶴丸「しっかり掴まっててくれよ!よっと!」
『わーい!』
鶴丸の首に抱き付き三人で屋根に飛び上がった
屋根につくと私が転がり落ちないように支えながらゆっくりと下ろしてもらった
『鶴丸!ありがとう!もう少し屋根の頂上の方に行こう!』
私は、ハイハイしながら頂上へ向かった
二人もそんな私の姿をみて笑いながらついてきてくれた
頂上付近にたどり着き振り返ると眼下には広い庭や畑、風に気持ち良さそうに揺れる洗濯物が見えた
二人も私を挟む様に両脇に座ってくれた
鶴丸「主?大丈夫か?怖くないか?」
『うん!大丈夫だよ!ありがとう!さすがにあの屋根の縁に座るのは怖いから無理だけどね?一期さんも一緒に来てくれてありがとね?』
一期「いえ、私は何も」
鶴丸「なぁ主、俺達をこんな所まで連れてきて何がしたいんだ?」
『あ、あ~うん…』
鶴丸「なんだ?言いにくい事か?」
一期「主殿?」
二人が私の顔を覗き込んだ
『ぅわあ!二人とも顔近いよ!言うよ!と言うか、一期さんに聞きたい事があるの!』
一期「私に聞きたい事ですか?」
『うん!でも言いたくなかったら言わなくていいからね?』
思わず鶴丸の手を握っていた
鶴丸「?」
一期「聞きたい事とは何ですか?」
更に鶴丸の手を強く握り口を開いた
『前の主さんの事…』
一期「っ!」