第9章 ♡甘い蜜には毒がある
『あ!と...いっても、別に俺が少女漫画が好き、とかってわけではなくって...その...この屋敷で働いてるメイドさんたちにね、よく勧められて読んでるだけ、なんだけど.........』
「??......は、はい...」
『......それで...その...あの、あのさ.....俺、最近、ちょっと...あの、身体がおかしくて...なんだか...その、動悸がする?っていうか......』
「え!?だ、大丈夫なんですか!?」
少女漫画のくだりの意味は正直よく分からなかったが、
やはり体調が優れない様子の羊に、
めるは慌ててその身を案じる。
『だ!大丈夫!大丈夫!!
えっと...心配させて、ごめんね。...えーっと、その、それで......少女漫画の話に戻るんだけど...』
「え?...も、戻るんですか...?」
正直少女漫画のことよりも
羊の体調の話を聞きたいが、なんとなくそれを言い出せずめるはぱちぱちと瞳を瞬かせる。
『そ、れで......最初は何か変な病気かと思ったんだけど......俺の、体調?がね、最近少女漫画で読んだ、ヒロイン...の、状態?に...そっくりで......』
「え?...は、はい.....?」
『そ、れで............』
「......それで......?」
『...それ...それで.........確認、してみたんだ...』
「??......かく、にん?
.........なにをですか?」
『えっと......さっき、の、顔...』
「???」
『そ、その...めるちゃんの顔見て......確認、して...』
「?.........あ...!さっきの、顔をじーっと見ていたやつのことでしょうか...?
え?でも......確認ってなんの...っ、きゃあ...!」
めるが不思議そうに言葉を紡いでいると、
急にめるを抱く羊の腕が強まった。