第1章 桜舞う暁に
『辞表』と書かれた封筒を見て、立原が口を開いた。
「それって、完璧、の字だよな」
それまではふざけた態度でエリス嬢に泣かされていた鴎外が首領としての顔をして静かに開けてみようと一言言った。封筒を開け、広津が読み上げた。紅葉は泣き崩れ、銀と立原はただ立ち尽くしていた。広津は静かに空を見上げて煙草をくわえ、鴎外は部下に探すよう指示した。
ー首領、紅葉姐さん、黒蜥蜴の皆さんへー
私、疲れちゃいました。
さすがに、太宰さんや織田作先輩、
安吾さん、そして...
中也さんが居ないなんて、
私にはもう限界です。 辛いんです。
いく千もの針が心に刺さったよう
に痛いんです。
ご立腹だと思いますが、心に
刺さったその針は永遠に
抜けないと思います。
まだポートマフィアにいるべ
きかとも思いました。
でも、私には耐えきれなかっ
た......
ごめんなさいと言っても許さ
れないでしょうが...もう...
私には何もないんです。
めんどくさくなっちゃっんです。
この世が...私にとって先輩たち
がいない世界なんて生きて
いても死んでいてもかわら
ないんです。
んで、広津さんや姐さん達に
気を遣わせてばかり...大変
でしたよね、私の相手なんて。
なので......さようならです。
さいごまで側に居てくださっ
て嬉しかったです。有り難う
ございました。
いつかきっとまた、何処かで
お会いできると信じています。
ーー
「っ…!!
あぁ...何、故......わっちに一言も言ってくれなかったのじゃッわっちはに本当に何もしてやれなかった...。
...謝るくらいならもっと...もっと頼ってくれれば、良かっ、たものを......うぅっ、ッ...」