第4章 近すぎるキミに思い馳せる
渉(うらたぬき)side
いつも俺はみんなと別れてからの少しの間、夏美と2人っきりになる。
幼馴染達の中でも1番家が近いから、ギリギリまで一緒に帰ってるんだ。
ずっと前から好きだった。あのかわいい笑顔も本人はみっともないっていう泣き顔でさえも全部俺に向いていたらいいのにって思ってる。
好きになったのがいつかなんて、覚えてない。自覚したのが遅かったから。
自覚したのは確かいつもと同じような日だった。
みんなと一緒に馬鹿なことして怒られて、反省してもすぐに繰り返す。それでさらに怒られて、夏美が泣いちゃったんだよね。
回想...
な)えーん...ヒック...エグッ...ヒック
わ)だいじょうぶ?夏美ちゃん。泣かないで、僕まで悲しくなっちゃうから。
な)うん...ヒック...ヒック...ごめんね、渉くん。もう大丈夫だよ!心配してくれてありがとう。
わ)だいじょうぶならいいんだけど…夏美ちゃんは笑ってるほうがかわいいよ!
な)うれしい、ありがとう!
わ)っ!(ほんとにかわいい。このフワフワした気持ちの名前は…)
回想終了...
今思えば、俺はあの時から夏美のことが好きになったんだろうな。
その時すぐに出なかった、気持ちの名前は…
「初恋」
な)ねぇ渉!今度幼馴染の6人と、転校生の3人とでお泊まり会とか出来ないかなぁ?
わ)おぉ〜!いいね!したい!
な)明日みんなに話してみよっか!
今はまだ幼馴染だけど、いつかは違う立場で夏美の隣に立てる日が来るのかな?