第19章 望み叶えタマエ
「あの……ごめんなさい!!」
「へ?」
三奈ちゃん達に謝ると、みんな涙を浮かべながら心底わけがわからないという顔をした。
かくかくしかじかと説明すると、特に怒った様子もなくて、結構どうでもいいといった感じでまたみんな泣き出した。
それを見てちょっぴりホッとした。
でも、鋭児郎くんはなんだか微妙な顔をしていたな。
「予鈴が鳴ったら席につけ。」
そして、そうこうしているうちに先生がガラガラっと扉を開けて入ってきた。先生が入ってきた瞬間、いつもみんなシーンと静まり返る。すごい団結力。
「おはよう。今回の期末テストだが、残念ながら赤点が出た。従って林間合宿は、」
先生の言葉を聞いて私はマスクをぎゅーっと顔に押さえつけた。なんだかいきなり寂しくなって。
やっぱり林間合宿みんなで行けないの、寂し__
「全員行きます!」
へ?
「「「「どんでん返しだー!!」」」」
「い、行っていいんですか!?」
「行っていいんすか俺ら!」
思わず大きな声が出て鋭児郎くんと言葉が被る。
凄く嬉しいんだけど、なんだろう。うーん。なんか、なんで私あんなに……。肝を決めて清水の舞台から飛び降りたら下にものすっごいフワフワの布団が敷いてあったみたいなかんじだ。
「赤点者だが、筆記の方は0。実技で芦戸、上鳴、切島、砂藤、安藤、そして瀬呂が赤点だ。」
自分の名前がでて少し背筋が伸びる。
先生の方を見るも先生は無表情のまんまで、私は目を下に落とし、それから廊下の外をボーッと眺めた。
先生の話がボーッと頭を通り抜けていく。
頭に話が入ってこないのは昨日の疲れなのか、マスクのせいなのか。
『林間合宿いけなくていいんだな?死ぬほどきついぞ?』
『構いません。みんなに、追いつけるなら。』
恥ずかしい。あんなこと言っちゃって。
多分、話を真っ直ぐ聞いていたら恥ずかしさで死にたくなるからだと思う。ほっぺたが真っ赤に熱くなっているけど、今はマスクのせいにしよう。
「お前らには別途に補習時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツいからな。」
その言葉で私の恥ずかしさは少しだけ和らいだ。