第16章 合理的はなまる
Side villain
「メディアはステインステイン…。ステイン一色だ。みーんな、俺らのことは二の次かよ。」
俺はイラついて水の入っているグラスを握りしめる。
瞬間それは跡形も無くチリとなった。
そんなことで俺のイラつきが収まると思うか?
何故思い通りにいかない?
頭の中はそんな答えのない問いかけでいっぱいになる。
そんな問いは泉のように溢れて止まらない。それにもまたイラつき、最悪のループが生まれる。
「おい黒霧。“アレ”はまだ見つからないのか?」
「今手を尽くしているところです。なんせ分かっているのは名前と血縁関係だけ。顔写真もなしですからね。綺麗に情報は隠されていますし」
「クソかよ。使えないな。」
思い浮かぶ唯一の方法はまだ霧の先、そんな不確定なものだ。
【安藤ひよこ】
そいつの個性が唯一思い浮かぶ方法。
チートコードだ。
その個性があればすべて俺の思い通りだ。そんな根拠の無い自信が俺の中にはあった。
その個性にしか用は無い。
そいつがどんな人生を送ろうが、そいつにどんな幸せがあろうが不幸があろうが関係ない。こいつの価値は個性だけだ。
「すぐ手に入れてやる。」
俺のゲームの、“コンポーザー”