第13章 Always thinking unto them.
昔、お母さんに聞いたことがあったっけ。
「ねぇお母さん。お母さんはどうしてお父さんとけっこんしたの?」
「えぇー。恥ずかしいなぁ。」
私は絵本で王子さまとお姫さまが結ばれるところをみて、そんな突拍子もないことを聞いたんだった。幼い私は絵本みたいなロマンチックな答えを期待したんだけど、
「そんなにロマンチックな話じゃないよ。…でも、すてきだったなぁ。」
「えー!わかんないよー!」
「んー?ひよこにもきっといつかわかるわよー!」
そういってお母さんは私のほっぺたをムニムニとさわった。
好きっていうのは、キレイな気持ち。それだけじゃないけれど、ちゃんとステキなものなのよ。
私にはよく分からなかった。
それから、私は
『ひよこ、ごめん、ごめんね……。』
私は、生きていていいのかも分からなくなった。
私は、そんな世界と無縁だと思ってた。
たとえ誰かを好きになったとしても、誰かに好きになってもらえるなんて、ありえないと思ってた。