第9章 何事も全力で
「やっぱり、気になるよね…けど年上が年下に頼るのってカッコ悪くない?」
今まで引っ掛かってたこと。
年上だから頼っちゃだめって思ってた。
けどそこで返してきた裕の言葉は私の見解していたものと全然違った。
「年上だからこそ、頼ってほしいんだ。年齢以前に女だろ?由架も。」
その言葉には短いけれど彼なりの強さが見えた。
そしてこのとき初めて気がつく。
[彼が一番自分の年齢にコンプレックスを抱えていることに。]
「頼っていいんだ、俺は由架が何かあったとき一番最初に思い浮かんで頼ってもらえるような存在になりたい。」
その言葉はだれより私のことを思いやってくれている、そんな言葉だと思った。
「わかった、我慢するのやめる。気を使わずに頼る。だから私からも一つお願いがある。」
私はそういってから彼の手を握った。
「あなたにも、裕にも私のことをたくさん頼ってほしい。いくらでも甘えてほしい。」
彼は私のいったことに静かに頷いた。
何かひとつ、私たちのなかで何かが進んだ気がした。
「これでお互い見栄はりはなしだな。」
そういうと少しだけ笑う裕。
私が手にしたこの笑顔は一生、私の宝物になるんだろう。
「でも」
あの話はデリケートな話だ。自分で解決したかった。
「今日あったことは自分で何とかしたい。だから終わったら話すね。」
こう言えば隠し事にはならない。私はそう考え裕に話した。
すると彼は私に
「頑張れよ、部長。…おやすみ。」
そういって目を閉じた。