• テキストサイズ

Diable Patron

第7章 兄の考えと二人の気持ち。


裕Side


突然の兄さんの謝罪に驚いた。


「…なんで謝るんだよ。」


俺はそう聞く。



だってそうだろう。


そもそも、俺が由架を好きにならなければ部署が一緒になることもなかった。


由架がフラれることも、部屋を出ると言うことにもならなかったのだから。


俺が[我慢]をすればすべてが成り立っていたのだから。


「…全部、俺が心配しすぎた結果だ。裕も由架ちゃんも悪くなかったんだ。」


そう言って兄さんは何度も何度も頭を下げた。



そのあと、俺自身が恋愛をしたことがなかったのが心配だったこと。


遊びなんじゃないかと疑ってしまったこと。


職場での恋愛が心配だったこと。



そして何より莉架さんと兄さんの互いの妹と弟であったこと。



あの時兄さんが疑問に思った点をすべて聞いた。



兄さんには兄さんの考えがあって。



偏見でもあったわけだが、他にも沢山の理由があった。



そして、一番の原因は俺達のことを心配していたという理由で。



それを聞いたとき少しほっこりした。



「ありがとう。」



俺がその言葉を口にすると兄さんは俺に、



「ありがとうなんて言われることしてない。なんであんなことしたんだって言われた方が気持ちが楽だよ。」



という。



「じゃあ、あえて責めないことにする。」



俺は少しだけ笑ってそういった。




「あれ、いつもいい子な裕が悪い子だな。」


そう言って苦笑いしながら微笑む兄さんに



「俺は案外悪い子だ。」



と言う。



その日は久しぶりに美味しいご飯を食べた気がした。
/ 200ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp