第6章 これは同棲なのか間借りなのか。
「はい、もちろん…!」
私はですとつけそうになるも、慌ててそれを止める。
「由架も何かあるんだったら言ってくれ、治した方がいいところがあるなら治したい。」
部長は私に微笑みながらそういう。
治してほしいところ…
正直心当たりはなかった。
けれど1つだけ疑問はあった。
「治してほしい…っと言うか質問なんだけど。」
「ん?」
「私は部長の家の一部を間借りさせてもらってる[同居人]なのか、同棲してる[恋人]なのか、どっちなのかな?」
慣れないタメ口でそう話した。
「…職務上、同じ部署内であるかぎりは[間借り]ってことにはしておきたい。」
[やっぱりそうなんだ。]
彼は今まで仕事を一番に生きてきたんだと思う。
[同棲]というワードは私があの部署にいる限り、彼の足手まといになる。
そう指す言葉に私は聞こえた。
付き合って早々、いろんな壁にぶち当たって私は少し疲れてきていた。
このままで大丈夫なのか、時々心配になってしまう。
けれどこの関係を終わりにしたくない。
そう思って私は精一杯の作り笑顔で「そっか」と返した。
納得なんてしてない。
でも、自分勝手にもそうするしか道は残ってない気がした。
ご飯を食べ終わった後の食器を片付けて、自室から自分のバッグを取りに戻る。
けれどベッドに座り込みため息が出た。
自分の不甲斐なさもその原因にあった。
いろんなことにびびっていろんなことに失敗する。
そんなのだから昨日の一件も起きた。
けれどそれは裕一人で解決すると言ってしまっていたし、それに納得した私も私だ。
そんなに相手に負担をかけてどうするんだろう。
こんな無能ではまたフラれてしまう。
いろいろ考えていればあっという間に時間は過ぎ去り、裕が自室の扉の向こうから私を呼ぶ。
私は軽く返事をすると、[今日からはいろんなことをいつもよりもっと頑張ろう。]と心に思い、部屋を出た。