第3章 上司のしたかったこと
日向を自宅まで送り届けた後、家に帰ってすぐビールの缶を開けた。
スッゴく楽しかった。
けど好きだなんて言う勇気なかった。
この年で人生初の一目惚れをして、あいつをうちの部署に持ってくるのに散々苦労して。
けど、壮の結婚相手の妹だなんて聞いてない。
[どうしたらいいのか]
それが俺にはわからなかった。
こんな場合、結婚はできるのだろうか。
俺にはすべてがわからない。
徐にパソコンを出してきてネットで軽く検索して見たが、できないわけではなさそうだった。
だが、いろんな意見があり
[どちらかが別れた場合に響く。]
[ただただ気まずい]
[両親が反対するのでは]
などの意見が羅列されていた。
無理なわけではないのか。
とすこし安心して俺はパソコンを閉じる。
なにか職場で外に出る用事があるたび、連れていって移動中二人で移動して。
その間の無言だが、好きな人と、日向といられる時間が、俺にはとっても大事で楽しくて幸せだった。
どうしたらいいんだろうな。
俺はまた、パソコンを開き「女の喜ぶプレゼント」と検索した。
一度聞いたことがある。
女は突然のプレゼントに喜ぶと。
この部署に来る前のことだ。
まだ俺が部長という管理職についていなかったとき。
その時の俺の上司が時々意味もなく、今日は花束買って帰るんだなどといって帰って行くことがあった。
あの時は女に貢いで尽くして何が楽しいなんて思っていたが今はその気持ちはわからなくはない。
今の俺には、残業に誘うくらいの勇気しかない。
けれど、いつかデートに誘うくらいの余裕がほしい。
だから俺も日々、進歩しないとな。
そう思いながら俺はビールを飲み干し、シャワー室へと向かった。