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【薄桜鬼】桜花恋語

第5章 不器用な優しさ




どうやら小島さんの所へきた手紙の内容は、「京都の島原や祇園でも、たくさんの芸者に惚れられて、まったく困るぜ」という内容のものだったらしい。



―なんでも、その手紙を囲んだ多摩の人々は大笑いしたとか。

「…なんだこりゃ!?」

「さっすが歳さん!色男ぶりは健在だな!」

「全く、ガキの頃と全然かわってねぇじゃねぇか!」

「はは!もてる男は辛いねぇ!」


鬼副長の噂など、あっという間に消し去るように、呆れから笑いへ。
彼を知る多摩の人々には、その手紙ひとつで充分だった。



「…なるほどね…」


じわじわとこみ上げてくる笑みを、抑えられない。

もう本当に、相変わらず素直じゃないんだから。


「全くもう!何をやってるのかしらあの子は!」


そう憤慨するおノブさんの顔には、言葉とは裏腹に安心しきった笑みが浮かんでいた。


「よかったですね、おノブさん」

「やーね、よくないわよ!我が弟ながらあんな手紙、恥ずかしいったらありゃしないわ…!」

「あはは!色男な弟ってのも大変ですね」







―不器用で、照れ屋で、優しくて。


やっぱり彼は、何ひとつ変わっていない。





―ありがとう、歳さん。






彼の素直じゃない優しさが、

どうしようもなく愛しく思えた、うららかな春の日の出来事…。










…桜花恋語 五話完。




次回からは、だいぶ急ぎ足で時代をかけていきます。
いきなり鳥羽伏見の終わりあたりまで飛ぶ予定です。
個人的にはその間もがっつり書いてもいいかなぁとも思ったのですが、ヒロイン出てこなくなってしまうので夢文としてそれはどうよ…と思った結果ですので、どうかご了承ください。
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