第19章 悩める季節 その2
「っっっ!!!・・・ばっ・・・お前、声でかすぎだ」
『へ?・・・あ!ご、ごめんなさい!!!』
その謝る声すらでかくて、俺は思わず電話を耳から離した。
「・・・・・・あー・・・で、なんだ?クリスマスイヴ、だって?」
『は、はい!宗介さん、空いてますか?』
「確か・・・そこら辺から正月明けぐらいまでずっとオフだった気がする。特にまだ予定はねえな」
『そ、それじゃあ、あの・・・えっと・・・そ、その・・・』
なぜかまだ言いにくそうにもじもじとしているヒカリ。だいたいもう言いたいことはわかったし、このペースだと夜中になってしまいそうだったので、俺は自分から言ってやることにした。
「・・・どっか行きてえんえだろ?」
『へ?』
「まあクリスマスイヴ、って言ったらアレだしな・・・いいぞ別に」
誕生日はスルーしてヒカリを怒らせたが、さすがの俺もクリスマスがカップルにとって、特別な日だということぐらいはわかる。
まあ正直な所、それすらも割とどうでもよかったが、ヒカリが望むんだったら、その通りにしてやりたかった。
『え、えーっと・・・だいたいそんな感じではありますが・・・あの・・・えっと・・・』
「・・・行きたくねえんなら別にいいぞ」
なぜかヒカリはまだ煮え切らない態度だ。さすがに少し腹が立って、突き放すように言うと・・・
『いえ、行きます!!絶対!!行かせて下さい!!!』
・・・電話を耳から離していて正解だった。案の定、ヒカリのでかい声が聞こえてきた。少しだけ噴き出してしまう。
「・・・はっ!・・・わかった。まあ詳しいことはおいおい決めるとして・・・・・・てか、お前、それだけ聞くのに、今日ずっとおかしかったのかよ」
『え、えーっと・・・まあ・・・はい。そういうことになり・・・ます・・・かね?』
なんで最後疑問形なんだよ。
本当にこいつはよくわからない。普段はもっと遠慮なく誘ってくるくせに、なんで今回に限ってこんなに遠慮・・・っていうか、様子がおかしくなってるんだよ。
ほんっとに・・・