第10章 好意
ヒロイン視点
翌日、目覚ましを早くにセットして急いで支度をしてキッチンへと向かう。
かなり早い時間だと言うのに既に起きて用意を始めてくれていたお祖母ちゃんに感謝しながらすぐに自分も手洗って作業を始めた。
自分が知ってるやり方とは違うお祖母ちゃんの作り方や料理を見て覚えながら作ってく。
出来上がったお弁当はちょっと気合を入れすぎた?ってくらいの豪華な物になってしまったが作ったのはお祖母ちゃんと言う事にしようと決めて鞄の中に入れた。
「優仁ちゃん、気をつけて行って来るのよ」
「はい!」
「一応管理人に連絡して使えるようにはしておいて貰ったから何かあったら近くにある家の別荘を使うといい」
「ありがとうお祖父ちゃん!行って来ます!」
荷物を持って出ればタイミング良く来た大野君。
竿などを自転車に乗せてニッコリと笑って挨拶をくれて、それに見惚れてしまいそうになりながら慌てて挨拶を返す。
「智君、朝御飯は?」
「ヨーグルト食べてきた」
「ええ!?こっこれ、良かったら食べない?口に合うかわからないけど」
「食う!!美味そう!」
自転車に乗りながらでも食べれるようにと作ったサンドイッチを手に取った大野君は自転車を止めてそれを口に入れた。
美味しそうに食べるなぁと横目で見ながら自転車を出してきて荷物を色々セットした。
「これ美味い!!」
「本当に?良かった!」
「ご馳走様でした!!よし、行こうぜ」
「ウン!」
自宅から自転車で移動する事三時間、中々の距離ではあったけど並んで話しながら走ったり彼の後ろを姿を見ながら走ったりと凄く私には楽しい小旅行だった。
向かった先は、綺麗な川のある場所。
自転車を止めて荷物を降ろして向かった川は本当に透き通る程綺麗な川。
「すげー綺麗!!」
「うん!!」
「よし、準備しようぜ?」
「分かった」
川縁に荷物を置いて竿を出し早速釣りの用意をする。
何度か経験はあるけど彼程ちゃんと知ってる訳じゃないから色々勉強はしてきたけど緊張する。
「へぇ、優仁やったことあんの?慣れてる」
「本当に?慣れてはないけど何度か経験あったから」
「そっか、なら今度は海行こうぜ?」
「うん、行きたい」
「約束な」
「ッ・・うん!」