第10章 一松の苦悩
そんなことを考えながら、デカパン研究所に着くと案の定カラ松が建物の前にいた。
あーうぜ……
クソ松……こいつがレディと呼んでいたのが、ヒナだと思うとイラッとする。
なんで俺より先に人間の姿で会ってんだ?
人間のヒナにいつ会えるかなんて、わかりもしないのにひたすら待ち続けている。
どうしてそんなことができる?
六つ子なのに俺は絶対こいつの真似ができない。
「どうした?一松じゃないか」
俺に気づくとカラ松は俺に声をかけてきた。
「……話しかけんな、クソ松。お前に用はねーよ」
そのまま俺は研究所に入った。
俺はデカパンから話を聞いてみると、どうやらもっと短期間の効き目のつもりだったらしい。
大体こいつの作る薬なんてろくなもんじゃねーんだ。
今あるだけよこせと脅して薬を2種類とも瓶ごと奪った。
再び、研究所の前でスルーしようと思ったが、俺はクソ松に話しかけた。
「クソ松。デカパンがお前の待ってる子はもう来ないって言ってたぞ」
と、言うようにデカパンには伝えてある。
「なんだとっ?!」
俺の言葉を聞くとクソ松は慌てて研究所に入っていった。
これでもうここに立つ理由もなくなるだろ……
ざまーみろ。