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空回り【銀魂】

第8章 それぞれの片想い



あー…泣いちゃったよ。

『どーしよ~グズッ』

「吉野さん!」

名前を呼ばれ振り向くとそこには鈴花ちゃんの姿があった

『すずかちゃん…ごめん私っ』

「もういいんです」

すずかちゃん…。

「私だって化粧したくらいで石田くんに好きになってもらえるなんて最初から思ってなかった…。それでも石田くんに可愛いって言って欲しかったんだと思います。
またブスって言われちゃったけど…」

鈴花ちゃんは私の目を真っ直ぐ見つめた

「それでも私の中では何か変わった気がします!…何もしないよりは一歩前に進めたんじゃないかって…」

『…』

「これもみんな吉野さんのおかげです、本当にありがとう」

それじゃ、と言って去ろうとする彼女を呼び止めチラシを渡す

『すずかちゃん!!これっ』

「これは…銀魂高校…?」

『私…今日のことは無駄なんかじゃないと思ってる!!』

ちゃんと意味はあったんだから…。

鈴花ちゃんは優しく微笑むと静かにお辞儀をして歩いて行った


結局私は…でかい口叩いてばっかで何も出来なかった

こんなんじゃ沖田にだって……

「吉野…?」

伝わるわけないじゃない…

『お…きた』

何でこんなタイミングで現れるのよ…

何でそんな心配そうな顔して私を見るのよ…。

友達宣言したくせに…どうして!

『胸…かして』

「は?」

沖田の返事も聞く気もなくトンっと彼に体を預ける


こんなに好きなのに…顔が見れない…。

おかげで彼の表情もわからないけど恐らく何がなんだかわからないだろう。

「どうしたんでィお前…」

『沖田さ…私のことブスだと思う?』

「え、どんな質問…」

沖田は私の肩を掴みゆっくりと離す

「何…お前は俺にブスだと思ってほしいのかィ?」

『へ…?』

沖田は少し目を逸らし頭を掻きながら言った

「つーかブスってどんなのを言うんですかィ?少なくとも俺はブス専じゃねェからわかんねー…」

なに…それ。

「って何泣いてんでィ!」

"可愛い"なんて綺麗な言葉はいらない。

今の私には、沖田のその言葉だけで十分…



十分だった。
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