第8章 それぞれの片想い
似合わない…か。
似合うように…なれないのかなぁ。
覚悟はしててもやっぱりこういうの、直接聞いちゃうと…なんか。
- 頑張ったって振り向いてもらえるわけない-
以前美々ちゃんに言われたことを思い出す
確かにそうかもしれない。
…でも、それでも私はっ
「ちょっとそこどいてくれる?」
突然聞き覚えのある声がしてそっと女の子たちの方を覗きこむ
美々ちゃん!?
そこには廊下の真ん中で喋る女子たちと話す美々ちゃんがいた
「そこ、通り道だから邪魔なんだけど」
少し強い口調でそう言って女の子たちの間を通り抜けようとする美々ちゃん
すると女子たちの一人が美々ちゃんの足を引っ掛け、その勢いで転ぶ彼女をクスクスと笑う
最低だ…。
顔を真っ赤にして下を向く美々ちゃん
助けなきゃ、と私が出ようと思った時
「いい加減にしなさいよッ!」
美々ちゃんは顔を上げてきつく女子たちを睨んだ
「さっきからコソコソと恥ずかしくないの!?」
美々ちゃん…。
「ハァ?何あんた」
「あ、この子Z組の転校生よ。可愛くて美人って噂の!」
「へぇー」
そう言って薄気味悪く笑う女子たち
「そういえばあんたうちのクラスの男子にも人気あるわよねー?」
「沖田くんにも散々色目使ってたもんねー」
「え、最低~」
「あなたたちもね」
美々ちゃんの言葉に女子たちはビクッと反応する
「色目だったらアナタたちも使ってたじゃない。こうやってコソコソするのはそこまでしても振り向いてもらえる自信がないから?…そんなんだったら毎日彼にアピールして色々空回りしてても行動してる、どこかの誰かさんのほうがよっぽど可能性があるわよね」
そこまで言った美々ちゃんの頬を女子たちの一人が叩いた
『!』
そうして美々ちゃんの髪を掴み言う
「知ってるわよ。あんた…沖田くんが好きだったんでしょ?」
え…。
美々ちゃんは一瞬目を見開いた
「でもフラれたんだよねー?あ、取られたの間違いかぁ…
吉野桜に」
どういうこと…?
美々ちゃんが
沖田を
好き…?