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空回り【銀魂】

第7章 踏み出す勇気


『こ、こここが沖田の家!!』

私はごくりと唾を飲み込む

「いつも見てんだろーが…」

そう言う沖田をよそに私はインターホンを押した

「はーい」

『こ、こんにちは!』

「あら桜ちゃん!」

しばらくして中から沖田の姉、ミツバさんが出てきた

「いらっしゃい…あら?どうしたのそーちゃん…そんなびしょ濡れで」

目を丸くして沖田を見るミツバさんに沖田は「いえ、別に…」と言って目を逸らした

だから濡れるよって言ったのに…。

「さ、あがってね」

『はいっ!お邪魔します!』

沖田の家に入るとそこは私の予想通りの部屋だった

『わ~!沖田の家綺麗!』

「オイ、俺んちあんま漁るんじゃねーぞ」

濡れた髪をタオルで拭きながら沖田は言う

「じゃあ夕食が出来たら呼ぶからそれまでゆっくりしててね」

『あ、はい!ありがとうございます!』

フフッと笑って部屋から出て行くミツバさん

天使だ…ミツバさん!

いいなぁ沖田…こんな素敵なお姉さんがいて。

私はふと、雑誌を片付けている沖田に視線を向ける

…そういえばミツバさんが夕食作るって…お母さんとお父さんお仕事とかで忙しいのかな。

『ねぇ沖田』

「あ?」

『沖田ってお母さんもお父さんも働いてるの?』

「…いねェよ」

え…。

「両親は俺が物心ついたときにはいなくて、それからは姉ちゃんが一人で俺を育ててくれたんでィ」

そう言った沖田の顔は少し寂しそうで…

『…ごめんね』

何か…辛かった。

私は…私が思ってる以上に沖田のこと何にも知らなかったんだな。

「オメーは?」

雑誌を片付ける手を止めた沖田は私の目を見て言う

『…私は…一人だよ』

「親は?」

『さあ…』

「さあ!?」

『物心ついたときには一人だったよ』

沖田は目を見開いた

「じゃあお前の世話は誰が…」

『5歳までは病院の人かな…。それから養護施設で10年、けど両親のことは誰も教えてくれなかった。だから、実際生きてるのか死んでるのかもわかんないんだよね』

沖田は「そうかィ…」と言って下を向く

『でもね、どんな理由があったとしてもいいの。私は産んでくれたことに感謝してるから…』

沖田は顔をあげて私を見つめた

『この世に生まれたから私はZ組のみんなに出会えた…沖田にも会えたんだから』

私も真っ直ぐ沖田を見つめた
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