第4章 嵐再び
【沖田side】
その後、吉野を抱えて無事浜辺に上がった俺にチャイナや姐さんたちが駆け寄る
「桜ちゃん!…血が!!」
「近藤さん、こいつをすぐ病院へ運んでくだせェ」
「ああ、わかった!」
「桜は大丈夫アルか!?」
「今は気絶してらァ…それより問題は吉野をやった奴らでさァ」
そう言う俺に姐さんは言った
「それならもう大丈夫よ。全員私と猿飛さんとで片付けたから」
…さすが近藤さんが惚れる女だ。
絶対敵には回したくねェな…。
「じゃあ、あいつのこと頼みまさァ」
「沖田くん!」
姐さんに引き止められ俺は立ち止まった
「行ってあげて、桜ちゃんのところに」
「……わかりやした」
何故かはわからねェが姐さんの目を見たら行かねェと駄目だって思った
「……」
「大丈夫?美々ちゃん」
「えっ…うん…」
「…あなた、沖田くんが好きでしょう?」
「っ!あ、あなたには関係ないじゃない」
「そうね…でも。私は桜ちゃんの友達だから」
「?」
「桜ちゃんは沖田くんが好きなの。まぁ…過去形になっちゃうんだけど…」
「それってどういう…」
「彼女は修学旅行の帰り道、交通事故にあったの。言う程の重体じゃなかったんだけど…事故のショックで彼女の中の沖田くんへの感情がなくなってしまったの」
「き…記憶喪失?」
「…だから、あの桜ちゃんは彼女であり、本当の彼女じゃないのよ…」
追いかけるだけの一方通行
それでもいつか振り向いてくれることを信じてた
「なのに…あんな…」
「関……ないわよ…」
「!」
「沖田くんは好きじゃないのに桜ちゃんが一方的に追いかけてただけなら関係ないわよ!それにもう過去でしょ!!今は…私が沖田くんを好きなの!」
そう言って走っていく美々ちゃん
「…過去か…」
沖田くんは…これでいいのかしら
沖田くんもきっと…。