第3章 距離【沖田side】
授業中…さっきから吉野が机の中をゴソゴソ漁り何かを探している
俺は後ろの席ということもあってさっきから気が散ってしょうがない
まあ、見てて飽きねぇからいいけど…面白ェし。
『あ、教科書忘れた…どうしよう』
…相変わらずマヌケだな。
まァ…見してやってもいいか。
どうせこれから昼寝する予定だし、貸し作っとくってのもありだしな。
「吉野、仕方ねェから俺の見せてやっても…」
「吉野、隣だし見してやる」
『え、いいの!?ありがとう土方!』
ひ、土方コノヤロオオオ!!
嬉しそうに頬を染める吉野に"ゴソゴソ煩くて集中出来ねェんだよ"と言いながらそっぽを向く土方
チッ…カッコつけてんじゃねェや。
『じゃあお言葉に甘えてみさせてもらっ…』
そう言った吉野が土方の方へ顔を向けた瞬間、土方も吉野の方を向いたため互いに前髪が触れるくらいまで近くなった
驚いて顔を真っ赤にする吉野
『あ、ごめっ…』
土方は特に気にしてなかったのか頭にハテナを浮かべている
そんな様子を見てますます赤くなる吉野の顔
心臓が何かに握りつぶされるような感覚が俺を襲った
「先生!保健室行ってきやす」